♪BGM≪
『酒と泪と男と女』河島英五≫
親戚が集まっても、あまり酒を飲まない家系のなかで、
幼い頃から、僕の存在は“特別”だったかもしれない。
「こいつは将来、酒飲みになるだろう」
幼い表情に、そういった雰囲気を漂わせていたようだ。
大学生にもなれば、酒の席にも加わるようになる。
最初の新入生歓迎(新歓)コンパの席で、
勧められるままに飲んでいるうちに、
初めて「つぶれる」ということを経験した。
その後も、サークルの飲み会は続く。
1回生の頃は、とにかく勧められるままに飲んでいた。
ただ、「つぶれる」直前で、宴はお開きになるばかりだった。
ちなみに、意識を失ったことは一度もない。
2回生となり、後輩ができてからは、
ただむやみに飲んで、陽気に振舞うことはなくなった。
どんなに意識がもうろうとしても、
心のどこかで、冷静に自分を見るようになった。
親戚の予想とは裏腹に、
20代半ばからは、どんどん酒に弱くなってしまった。
大阪にいた頃は、夏になると晩酌することもあったけれど、
ここ数年は、よほどのことがない限り飲まない。
勢いづけに買い置きしている缶チューハイも、
何週間、何ヶ月も、冷蔵庫に待機したままになる。
♪忘れてしまいたいことや どうしようもない寂しさに
包まれた時に 男は 酒を飲むのでしょう・・・♪24歳の頃だった。
その頃、僕は、“ある専門の世界”を目指していた。
そのために、社会的安定から身を引いたこともあった。
だけど、その世界は、明らかに、“斜陽”の世界だった。
初志を貫こうとして、頑張って(我を張って)みたものの、
潜在意識では、明らかに不安を感じていた。
それでも、周囲には“有望株”として期待されていた。
ある夜、期待してくれていた人に誘われて、バーに行った。
僕は、物珍しさから、10数種類のカクテルを次々と頼み、
気がついたら、意識は飛んでいた。
地下鉄で4駅ほどの距離の道を、歩いて帰った。
そして、家に着いた時、僕の緊張が切れた。
結局、潜在意識のうずくままに、僕は軌道修正した。
そして、幸福な未来を得た。
♪飲んで 飲んで 飲まれて 飲んで
飲んで 飲みつぶれて 寝むるまで 飲んで
やがて男は 静かに寝むるのでしょう・・・♪酒は、人と人との絆を強める潤滑剤にもなる。
その後も、酒のおかげで、どれほどの絆を得てきただろう。
もちろん、僕は、どんなに意識が薄らいでも、
冷静な自分、醒めた自分を離さない。
酒を通して、人を知る。
夜通し飲んだこともあった。
人の本音を聞き、その心のかたちを知った。
♪泣いて 泣いて 一人泣いて
泣いて 泣きつかれて 寝むるまで 泣いて
やがて女は 静かに寝むるのでしょう・・・♪ほとんど酒を飲まなくなった今はどうだろう?
♪俺は男 泣きとおすなんて出来ないよ
今夜も酒をあおって 寝むってしまうのさ
俺は男 泪はみせられないもの・・・♪泣きとおすこともなく、酒をあおるわけでもない。
だけど、絆を深めるために、泪を見せたことはあった。
酒を、単なる楽しみにするだけでなく、
人を知る方法として活かすようになってから、
理性や知性を鎮めて、感性を発揮させてみた。
そして、相手の存在や、人柄に感動するのだ。
それは、男として、“強さ”を求めて成長する過程で、
どうしても捨てられない“男の優しさ”。
寂しさを、絆によって乗り越えようとする“力”。
そんな自分を発揮することも、たまにはいいかもしれない。
☆心が響いたら⇒
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