今は、未知なる世界をさがして
2005年 04月 17日
♪BGM≪『ホームにて』中島みゆき≫
なつかしい、友たちの表情を観て、
僕もまた、なつかしい、時のなかにいた。
♪ふるさとへ 向かう最終に
乗れる人は 急ぎなさいと
やさしい やさしい声の 駅長が
街なかに叫ぶ・・・♪
この曲を、深く味わった頃。
学生の僕は、休暇を利用して、
日本各地に張りめぐらされている鉄路をたどっていた。
──未知なる世界をさがして。
その頃、僕にとって、この曲は、
夜行列車の車窓から見るノスタルジーを
美しく演出するためのBGMとしてのみ生きていた。
そして、社会に出て、
僕は、さらに深く、この曲を味わうこととなった。
それは、“恋”の色をしていた。
一度目の“恋”──。
僕は、一人の女性との生活をはじめた。
彼女は、積極的で、押しが強かった。
そんな彼女のなかに、僕は、未知なる世界を観た。
彼女は、僕を、愛してくれた。
僕は、彼女を、愛する努力をした。
だけど、その“恋”は、
なぜか、爽快感よりも、疲労感で僕を満たした。
たどってきた鉄路の、数キロ先に、
僕が慣れ親しんだ“ふところ”があった。
僕は、悲しみを携えて、鉄路を引き返した。
休息がほしかった。
そして、「一夜だけ」と、自分に約束をして、
その“ふところ”に包まれることにした。
♪走り出せば 間に合うだろう
かざり荷物を ふり捨てて
街に 街に挨拶を
振り向けば ドアは閉まる・・・♪
黄昏のホームにて。
僕の心に、力が働きかけてきた。
「裏切ってはならない!」
引き返すことは、なんの実りをももたらさない。
一夜分の荷物を持って、僕は彼女の元に戻った。
その“恋”は、数年後に幕を下ろしたが、
あのときに踏みとどまったことは、
いくつかの実りをつけて、今へと導いた。
二度目の“恋”──。
すでに、生まれ故郷を離れ、
新しい世界に、僕は、この身を託していた。
未知なる世界が、現実へと変わり続けるなかで、
いまだ見えない現実に、心がふさぎがちだった。
♪振り向けば 空色の汽車は
いま ドアが閉まりかけて
灯りともる 窓の中では 帰りびとが笑う・・・♪
彼女は、僕の故郷の方から、
いつも笑顔を向け続けてくれた。
この目で、お互いを確かめることはなくても、
心と心は、しだいに近くに感じ始めていた。
僕は、彼女に会いにいくことにした。
それは、僕の、未知なる世界を、
決して、ふさぐことにはならないだろうと信じて。
♪ふるさとは 走り続けた ホームの果て
叩き続けた 窓ガラスの果て
そして 手のひらに残るのは 白い煙と乗車券・・・♪
僕を引き止める気配を感じた。
そう。
その時、僕はまだ、
未知なる世界に、何ひとつ、
実りをつけていなかったのだ。
故郷の方向に、目を向けてみた。
僕の鉄路は、ポイントが左に傾いていた。
そのままいくと、“敗北”という駅を目指していた。
写真でしか会ったことのない、美しい笑顔。
僕に差し伸べられた、ふたつの掌。
そのぬくもりには、ふれることはできなかった。
♪涙の数 ため息の数
溜まってゆく 空色のキップ
ネオンライトでは 燃やせない
ふるさと行きの乗車券・・・♪
あれから、僕は、いくつかの“恋”を感じたが、
いまだ、“恋”は、かたちを得ていない。
♪たそがれには 彷徨う街に
心は 今夜も ホームに たたずんでいる
ネオンライトでは 燃やせない ふるさと行きの乗車券♪
なつかしい、友たちの表情を観て、
僕もまた、なつかしい、時のなかに、
一歩を踏み入れようとした。
だけど、そこに、
僕の居場所は、確保できないことに気づいた。
僕は、この街で、生きていく。
僕は、この街で、夢をかなえていく。
そして、僕は、
この街で、“恋”を実らせていく。
やがて、この街で、人生を閉じる。
今というホームにて。
心の各地に張りめぐらされている鉄路をたどってみた。
──未知なる世界をあおいで。
そして、もう戻らない日々を支えてくれた人たちに、
感謝の想いを乗せた列車を、発車させた。。
そして、これからの日々に浮かぶ人たちに、
僕を輝かせてみせるという誓いを、発車させた。
いつか、ポイントが切り替わり、
“勝利”をお土産に、訪れる日が来るように。
なつかしい、友たちの表情を観て、
僕もまた、なつかしい、時のなかにいた。
♪ふるさとへ 向かう最終に
乗れる人は 急ぎなさいと
やさしい やさしい声の 駅長が
街なかに叫ぶ・・・♪
この曲を、深く味わった頃。
学生の僕は、休暇を利用して、
日本各地に張りめぐらされている鉄路をたどっていた。
──未知なる世界をさがして。
その頃、僕にとって、この曲は、
夜行列車の車窓から見るノスタルジーを
美しく演出するためのBGMとしてのみ生きていた。
そして、社会に出て、
僕は、さらに深く、この曲を味わうこととなった。
それは、“恋”の色をしていた。
一度目の“恋”──。
僕は、一人の女性との生活をはじめた。
彼女は、積極的で、押しが強かった。
そんな彼女のなかに、僕は、未知なる世界を観た。
彼女は、僕を、愛してくれた。
僕は、彼女を、愛する努力をした。
だけど、その“恋”は、
なぜか、爽快感よりも、疲労感で僕を満たした。
たどってきた鉄路の、数キロ先に、
僕が慣れ親しんだ“ふところ”があった。
僕は、悲しみを携えて、鉄路を引き返した。
休息がほしかった。
そして、「一夜だけ」と、自分に約束をして、
その“ふところ”に包まれることにした。
♪走り出せば 間に合うだろう
かざり荷物を ふり捨てて
街に 街に挨拶を
振り向けば ドアは閉まる・・・♪
黄昏のホームにて。
僕の心に、力が働きかけてきた。
「裏切ってはならない!」
引き返すことは、なんの実りをももたらさない。
一夜分の荷物を持って、僕は彼女の元に戻った。
その“恋”は、数年後に幕を下ろしたが、
あのときに踏みとどまったことは、
いくつかの実りをつけて、今へと導いた。
二度目の“恋”──。
すでに、生まれ故郷を離れ、
新しい世界に、僕は、この身を託していた。
未知なる世界が、現実へと変わり続けるなかで、
いまだ見えない現実に、心がふさぎがちだった。
♪振り向けば 空色の汽車は
いま ドアが閉まりかけて
灯りともる 窓の中では 帰りびとが笑う・・・♪
彼女は、僕の故郷の方から、
いつも笑顔を向け続けてくれた。
この目で、お互いを確かめることはなくても、
心と心は、しだいに近くに感じ始めていた。
僕は、彼女に会いにいくことにした。
それは、僕の、未知なる世界を、
決して、ふさぐことにはならないだろうと信じて。
♪ふるさとは 走り続けた ホームの果て
叩き続けた 窓ガラスの果て
そして 手のひらに残るのは 白い煙と乗車券・・・♪
僕を引き止める気配を感じた。
そう。
その時、僕はまだ、
未知なる世界に、何ひとつ、
実りをつけていなかったのだ。
故郷の方向に、目を向けてみた。
僕の鉄路は、ポイントが左に傾いていた。
そのままいくと、“敗北”という駅を目指していた。
写真でしか会ったことのない、美しい笑顔。
僕に差し伸べられた、ふたつの掌。
そのぬくもりには、ふれることはできなかった。
♪涙の数 ため息の数
溜まってゆく 空色のキップ
ネオンライトでは 燃やせない
ふるさと行きの乗車券・・・♪
あれから、僕は、いくつかの“恋”を感じたが、
いまだ、“恋”は、かたちを得ていない。
♪たそがれには 彷徨う街に
心は 今夜も ホームに たたずんでいる
ネオンライトでは 燃やせない ふるさと行きの乗車券♪
なつかしい、友たちの表情を観て、
僕もまた、なつかしい、時のなかに、
一歩を踏み入れようとした。
だけど、そこに、
僕の居場所は、確保できないことに気づいた。
僕は、この街で、生きていく。
僕は、この街で、夢をかなえていく。
そして、僕は、
この街で、“恋”を実らせていく。
やがて、この街で、人生を閉じる。
今というホームにて。
心の各地に張りめぐらされている鉄路をたどってみた。
──未知なる世界をあおいで。
そして、もう戻らない日々を支えてくれた人たちに、
感謝の想いを乗せた列車を、発車させた。。
そして、これからの日々に浮かぶ人たちに、
僕を輝かせてみせるという誓いを、発車させた。
いつか、ポイントが切り替わり、
“勝利”をお土産に、訪れる日が来るように。
by logos7777
| 2005-04-17 01:17
| 70~80年代フォーク