いつか、聴いた歌。いつか、胸ふるわせた歌。いまの僕へと、導いた歌。 ・・・そんなエピソードの数々


by logos7777
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カテゴリ:演歌/歌謡曲( 1 )

人のやれないこと

♪BGM≪『いっぽんどっこの唄』水前寺清子

まだ拓いたことのない世界に、
新しい出逢いがある。
その風景は、異質に感じたとしても、
やがて、親しみも起きてくるだろう。

合宿一日目、鹿児島。
前日の夜行列車での移動の疲れがあるはずなのに、
皆が眠りについても、僕はなかなか眠れなかった。

その先輩も、寝つけなかったようだ。
電気を消した大部屋の隅で、互いの声が交わされていった。

夏の真っ最中なのに、なぜか冬の話題で盛り上がった。
一年の最後を飾る定番である「紅白歌合戦」。
お目当てのアイドルだけが楽しみだった。
そして、演歌は、興味を軽くかする程度に過ぎなかった。

ところが、その前年末の紅白歌合戦で、
記憶に残った演歌歌手がいた。
先輩もまた、その歌手の記憶を刻んでいた。

水前寺清子・・・。

なぜか、話題が盛り上がった。

自分と同じものを、他人のなかに見るとき、
何かがつながるという感覚を得る。
ジョン・レノン、長野博(V6)、夏川りみ・・・
そして、水前寺清子は、僕と誕生日が同じらしい。

誕生日という共通点が、新たな領域を拓いた。
演歌の世界は、僕の趣味とは異なるけれど、
彼女の歌う世界には、陽気なものを感じていた。
さらに、女性が男性の着流し姿になるというのは、
女物の着物を着ている浮浪雲を連想させて、
(当時)若い僕には、マジメに歌っている彼女が、
なんとなく滑稽に思えたものだ。

二日目、延岡。
一行は、宿泊先を探して、駅前を歩いていた。
その時、街中のいたるところで、
水前寺清子が出迎えてくれた。
近く、リサイタルが開催されるという案内だった。

思わぬ偶然!
以来、僕と先輩は、水前寺清子つながりとなってしまった。

「きっかけは、九州合宿!」
そんなことがきっかけとなって、
水前寺清子の歌を何曲か聴いてみた。
僕が生まれるか生まれないかの、高度成長の時代、
彼女の歌は、数多くの人を元気づけたことだろう。

♪ぼろは着てても こころの錦
 どんな花より きれいだぜ・・・♪


僕の通っていた大学は、神戸の近くにあり、
キャンパスは、男女問わず、おしゃれな人に満ちていた。
そんな中、中途半端なトラッド姿の僕は、
雰囲気にマッチしたり、浮いていたりしていた。

まだまだ、心も錦からは遠かった頃。

♪若いときゃ 二度ない どんとやれ
 男なら 人のやれない ことをやれ・・・♪


キャンパス・ライフは、新鮮さをもたらした後に、
漫然へとたどりついてしまう。
おしゃれな大学の学食で頼むメニューが、
しだいしだいに、ワンパターンとなるように、
僕の日々も、ある慣性の流れを作った。

合宿で親しくなった先輩と、学食に行く。
Aランチを食べながら、「水前寺ネタ」。
それはまさしく、「人のやれない(やらない)」学生生活。

その後、先輩が就職し、関東に引っ越された。
寂しさと不安があるだろう・・・
僕はよく、手紙で励ましていた。

♪男なら なげた笑顔を みせてくれ・・・♪

あれから時は過ぎ去った。

一昔前ならば、今の僕と先輩の年代では、
演歌の世界に浸っていた人も多かったことだろう。
だけど僕は、今でも、
演歌を別世界のように感じている。

でも、フォークやニューミュージックの世界は、
今の大学生からすれば、演歌的かもしれない?
そんなことを思いながら、僕は想い出を振り返っている。

今、先輩は、大阪の地で頑張っておられる。
そして、立場は逆転し、僕が関東に住んでいる。

♪春が来りゃ 夢の木に 花が咲く
 男なら 行くぜこの道 どこまでも♪


先輩とはもう、数年会っていない。
だけど、互いに、見えない線で、あの頃と同じように、
応援し合っているかも知れない。
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by logos7777 | 2005-04-23 02:24 | 演歌/歌謡曲